FOR EARS 2008 BEST


YUI : I Loved Yesterday
2008/Sony Music/SRCL-6768
このアルバムをきっかけに、「当然ながら、同じ音楽を聴いても人それぞれ心に映るものはちがう」ということを強く意識するようになった。/「CHE.R.RY」のポップなイメージでいたら、「LOVE & TRUTH」のキモさに驚いたのが最初のとっかかり。/"暗い曲の多いガールポップアルバム"でしばると、こんなに何度も繰り返し聴いたのは坂本真綾「DIVE」以来。/YUIは声にまつわる全部がいい。歌声がいい。イエーとかオーの多用とか、歌詞以外の発声が可笑しくてくせになる。/歌詞もひっかかりだらけ。前作にはほんとにひどいなと思うイタさがあったけど、今作の、たとえば評論家批判の歌をわざわざ作ったり、とかは、面白がれる。/過去作も遡って聴いた。1st「From Me To You」も傑作で、特に「LIFE」は7インチで所有しておきたいくらいの名曲(勝手にプレスしてしまいたい)。

Steruss : 円鋭
2008/LOCKSTOCK/LSTCD-003
iPodでよく聴いた。第一印象ちょっと地味?が繰り返し聴いても飽きない余裕で前作超えの傑作。過去を印象づけるリリックが多く、その筆頭となる「大時計のダンス」の強烈なノスタルジーが同い年の自分にも伝染した。crime6のまっすぐなリリックと無骨な声・フローとの対比もあり、BELAMA2のフワフワしたリリック、スベスベした声とフローに魅力を感じる。

Romero Lubambo & Weber Drummond : Face To Face
1993/GSP/GSP5003CD
居間で夕食時よく聴いた。リオ出身のギタリストとキーボーディストのデュオ作。テクニカルで、ものすごい数の音符が羅列されるにもかかわらず、軽くて爽やかなアコースティックフュージョン。オリジナル半分、ジスモンチほかカバー半分。耳を奪われるフレーズがいい間隔であらわれて、霧吹きで湿らせた程度の湿度も心地いい。素晴らしいCD。気に入りすぎて人にプレゼントしたくらい。

渋谷毅 : Solo Famous Melodies
2007/ビデオアーツ/VACM-1335
渋谷毅 : Solo Famous Composers
2007/ビデオアーツ/VACM-1336
居間でよく聴いた。それぞれ7曲約30分収録(続けて聴きたいので1枚のCDRにまとめたりもした)。メロディが真ん中の、静かで優しいピアノソロ。ジャズ的なメロディのくずしとか、クラシックピアノの甘ったるい感傷とか、その他テンポや演奏の強弱による演出とか、もろもろの余計なものが排されている。聞き惚れる。ただ流しておくだけでもいい。

Mary Z. Cox : A Secret Life Of Banjo
2004/自主制作
Mary Z. Cox : Florida Banjo
2008/自主制作
フロリダの女性バンジョー奏者のアルバム2作。ディスクユニオン新宿ルーツ&トラディショナル館で購入。アシッドフォークの流れでバンジョーソロのCDを探していた自分にとって"A Secret Life〜"はまさに求めていたとおりの内容。素朴でミニマル、神聖さをも感じさせる。OKI"Tonkori"の雰囲気に近いかも。"Florida Banjo"は2008年新作で、フィドル、ベース、ギター、マンドリンなどとの合奏曲が多く、より明るく賑やかで、いわゆるカントリーのイメージに近い内容。とはいえ下世話さはまったくない。2作とも収録曲のほとんどが古い伝承曲。

Perfume : GAME
2008/徳間ジャパン/TKCA-73325
iPodで曲単位でよく聴いた。「GAME」「シークレットシークレット」「Butterfly」の3曲。アルバムとおしてもいやな曲がなくてすごい良い。

V.A. : 歌と音でつづる明治
2008(オリジナル1968)/キングレコード/KICS-8156/7
明治元年から100周年の年に制作された企画盤のCD化。明治時代の流行歌(主に壮士演歌)48曲と、曲間に、再現された「明治の街頭音」を28収録。J-POPから遡って日本の流行歌の起源に興味がわいていたタイミングでのリリースで、楽しんで聴けた。ブックレットの解説も充実。ゆったりしたリズムと、効果音があいまってサイケっぽい雰囲気も少し醸している気が。DISC2を就寝時よくかけた。

V.A. : 七つの子 - 野口雨情作品集
2002/ビクター/VICG-60536/7
タイトルどおり野口雨情作詞の楽曲を、SP盤音源で、童謡編と歌謡・新民謡編の2枚組で収録。童謡編を就寝時ほんとによくかけた。内容は半分以上が既聴の「中山晋平の童謡」と重複しているけど、この編集盤をよく聴いた。蛙やカラスの声などの効果音と、オノマトペの歌詞がいい。お遊戯ぽく踊ってしまう曲多数。どれもいいけど、「南京言葉」「ペタコ」「うさぎのダンス」「チンドンヤ」が好き。

V.A. : I Belong To This Band: Eighty-Five Years Of Sacred Harp Recordings
2006/DUST-TO-DIGITAL/DTD-06
ハードコアなSP音源のリリースを連発しているレーベルDUST-TO-DIGITALを知って、そのリリースのなかでもなんじゃこれ度が高かったCD。Sacred Harpというスタイルのコミュニティ集団合唱を30曲収録。80年以上の時間を隔てた1922年の音源と2006年の音源にそれほど差がないことに驚いた。ハーモニーの粗さもインパクト大。英文のライナーノートを読めば背景が見えてくるのかもしれないけど(未読)、何なのかよくわからないのもまた魅力。